シカゴ・ホワイトソックスは2025年12月、村上宗隆を2年総額3,400万ドルで獲得した。交渉成立の背景には、国際スカウト部門による調査と、野球面だけでなく事業面も含めて獲得効果を検討する球団の方針があった。メジャー1年目は不振や負傷を経験しながらも主軸として起用され、35本塁打、92四球を記録。獲得までの経緯と、球団が村上を打線の中心に置き続けた理由を整理する。

当初は「現実的な獲得対象」ではなかった

村上は2025年12月、ホワイトソックスと2年総額3,400万ドルで契約した。契約満了後の2027年シーズン終了時には、年俸調停ではなくフリーエージェントになる条件とされている。

MLB.comが報じた獲得経緯によると、クリス・ゲッツGMは当初、契約年数や金額をめぐる市場の予測から、村上を現実的な獲得対象とは考えていなかったという。

それでも球団は調査を継続した。国際スカウト部門を統括するデービッド・ケラー氏が日本での調査に関わり、日本担当スカウトのサトシ・タカハシ氏とともに、村上の長所とメジャー適応に伴う課題を検討した。

契約が現実味を帯びたのは、45日間のポスティング交渉期間が終了する直前だった。村上側の代理人を務めるExcel Sports Managementとの協議を経て、期限間際に契約がまとまった。

野球面と事業面を一体で検討

ホワイトソックスは、村上の獲得を単なる一塁手の補強としてだけ捉えていたわけではない。

ゲッツGMは獲得交渉を振り返り、選手の調査、獲得、育成、ロースター管理、試合運用は相互につながっているという考えを説明している。さらに、大型契約を検討する際には、会計、マーケティング、広報など事業部門への影響も含めて判断したとしている。

MLB.comは、村上の加入について、左打ちの長距離打者を打線に加えるだけでなく、ホワイトソックスが環太平洋地域で選手を発掘し、球団への注目を広げる契機にもなったと報じている。

ただし、チケット販売、グッズ販売、スポンサー収入などの具体的な増加額は公表されていない。村上の加入による経済効果を金額として示すには、球団の追加資料が必要となる。

不振時も主軸起用を支持した理由

スポーツ報知によると、ゲッツGMは村上を不振時にも打線の中軸から外さなかった理由として、一振りで試合の展開を変えられる長打力を挙げた。

村上は本塁打が出ていない期間にも四球で出塁し、相手投手にとって脅威となる打席をつくっていた。球団側は、打率や本塁打だけでなく、出塁能力や打席内容が打線全体へ与える効果も評価していた。

ただし、日々の打順や先発起用を決定するのはウィル・ベナブル監督を中心とした現場首脳陣である。ゲッツGMの発言は、編成責任者として中軸起用を支持する理由を説明したものと位置づけるのが適切だ。

最終成績は35本塁打、92四球

スポーツ報知の記事が掲載された9月25日の時点で、村上は33本塁打を記録していた。その後、ロッキーズ戦で菅野智之から2本塁打を放ち、レギュラーシーズンを35本塁打で終えた。

MLB公式記録による2026年の最終成績は、126試合で打率.207、35本塁打、77打点、92四球、出塁率.348、長打率.478、OPS.826。35本塁打はチーム最多だった。

一方で195三振を記録しており、コンタクト面には改善の余地が残った。打率や三振数だけを見れば課題があるものの、長打力と出塁能力を組み合わせることで攻撃面の価値を生み出したと評価できる。

三振の原因を速球への対応や特定の球種に求める場合は、Statcastなどを使った追加分析が必要となる。

負傷離脱後も中軸へ復帰

村上は5月29日に右ハムストリングのグレード2の損傷を負い、35試合を欠場した。

復帰後は再び打線の中心を担い、最終的に35本塁打まで数字を伸ばした。一定期間の離脱がありながらシーズンを通して長打力を示した点は、球団が獲得時に見込んでいた攻撃面の価値が結果として表れた部分といえる。

ただし、村上の加入だけをホワイトソックスの成績向上の原因とすることはできない。若手選手の成長、投手陣や守備の改善、首脳陣のチーム運営など、複数の要素を分けて評価する必要がある。

ポストシーズン進出と次の契約判断

ホワイトソックスは9月24日のロイヤルズ戦に9―1で勝利し、2021年以来となるポストシーズン進出を決めた。

3年連続で100敗以上を記録したチームが、翌シーズンにポストシーズンへ進出する大きな転換となった。村上はそのシーズンで打線の中心を担った一人だが、球団全体の再建が完了したと判断するには、今後も継続的な結果が必要になる。

MLB.comは8月27日、ホワイトソックスと村上側が契約延長について初期段階の話し合いを行っていると報じた。

2026年9月28日時点で、新たな契約の合意や具体的な条件は公式発表されていない。球団が35本塁打という結果、出塁能力、チームへの影響、将来の事業価値をどのように評価し、次の契約判断につなげるかが今後の焦点となる。

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